幸せですか?

2008年6月4日放送分『ベリキュー!』で、真野ちゃんが引用していたアルツィバーシェフ(Михаил Петрович Арцыбашев:作家、1878-1927)の格言。
「それ自体の不幸なんてない。自ら不幸を思うから不幸になるのだ。」


これに近い発言は、『サーニン(Санин)』という小説の第38章後半部分にある。
サーニンとカルサーヴィナの2人による会話の最中に出てきたもの。
以下、日本語版(『ロシア文学全集29』収録、昇曙夢訳、日本ブッククラブ、1971年)の P245-P246 を一部引用*1
ちと文体が古いが勘弁。

(中略)
「わたしには解りませんわ」と、娘はおずおず口を開いた。
「ユーリイ・ニコラーエヴィチ*2さんがそんなふうなのは、あの人自身の罪のように、あなたはおっしゃるけれど……人間が人生に満足しないということは、人生よりも高いところにいるということになりはしませんか……」
「人間は人生よりも高いところにいることはできませんよ」と、サーニンは反対した。
「人原それ自身が人生の一分子に過ぎないのです……不満足ということはありうる。その人は実際自分に必要な原因は人間自身の内にあるのです。その人は実際自分に必要なだけのものを人生の宝庫から取り出すことができないのか、それとも取り出そうとしないかに過ぎないのです。...」
(以下略)
続いてロシア語版を↓から引用しておく。
・Санин(2006年?月 Lib.ru)
(中略)
- Я не понимаю, - робко заговорила девушка, - вы так говорите о Юрии Николаевиче, как будто он сам виноват в том, - что такой, а не другой...
Если человек не удовлетворяется жизнью, значит, он выше жизни...
- Человек не может быть выше жизни, - возразил Санин, - он сам - только частица жизни...
Неудовлетворенным он может быть, но причины этой неудовлетворенности в нем самом.
Он просто или не может, или не смеет брать от богатства жизни столько, сколько это действительно нужно ему.
Одни люди сидят в тюрьме всю жизнь, другие сами боятся вылететь из клетки, как птица,
долго в ней просидевшая...
(以下略)
実はこの後ハードな展開になるのだが・・。
知りたい人は、どっかで『サーニン』を借りるなり買うなりして読んでみよう(無責任)。


ちなみに、『サーニン』は、作品中に描かれてる思想のおかげで問題作になったとか。
・・・真野ちゃんもとんでもない作品から引用したもんだ(違)。

*1:岩波文庫版もあるらしいが、何故か某図書館には下巻しかなかったというオチが・・・

*2:登場人物の1人。悲惨な結末を迎えるハメに